一般社団法人の設立と役員報酬について
一般社団法人と株式会社の最も異なる点は株式会社が営利活動をしているのに対して一般社団法人は非営利組織であるという点です。一般社団法人は得た利益を株主に分配することを理由に出資してもらい、それを資本金として活動する株式会社と異なり、設立時の出資金が不要なかわりにたとえ利益を出したとしてもそれを社員に分配することはできないのです。
もしも大量の利益が出た場合は、来年度以降の社団法人の活動資金として当てられます。
一般社団法人設立の際の資金調達手段としては基金制度というのが設けられています。このお金は完全に法人の財産となるわけではなく、一定の要件や合意のもと返還義務を負っているのです。
法人は非営利組織としての活動を法律上定められていますが、役員報酬に関しては禁止されてはいないのです。法人設立時に定める定款や、設立後に開かれる社員総会において役員報酬の額は定められます。
とはいっても、一人ひとりの役員について具体的に決めるわけではありません。理事の場合は1名であっても複数名であっても関係なく、理事全員に対しての総額だけを定めるのです。複数名いる場合の分配方法については理事会などでの話し合いに任せます。総額が明らかになっていさえすれば、あとの配分方法は法人全体には影響を及ぼさないためです。
監事の報酬も同じように総会や定款で定められますが、監査機関として独立性を保つためにも、理事の報酬と一括ではなく別々に決議する必要があります。また、理事の場合と違って監事自身が報酬額について意見を述べることもできるのです。
会計監査人の報酬については定款や総会の決議は必要ありません。ただ監事の同意を得る必要があります。
一般社団法人の中でも、税制上優遇が受けられる非営利型法人となれるとメリットも多く、多くの団体が目指しています。ただ、非営利型法人には条件があり、特定の役員に対して過大な給与を支払っている場合にはなれないのです。そのため役員報酬については法人のほうで設立時の定款ないしに社員総会の場を通じて自由に決定できているようで、税務上の観点からもある程度制限されてはいるのです。
役員に過大な報酬を支払ってしまい、税務上の「特別の利益の供与」に当たった場合、二度と非営利型法人にはなれません。そのため、報酬決めの際には税理士などの専門知識を持った人に相談してアドバイスをもらいながら設定するところが多いです。