設立の比較
社団法人とその他法人格設立の比較
何らかのビジネスを行う場合、取引先や金融機関等が重要視するのは、信用力です。一般的な見方として、個人でビジネスを行うよりも、法人のほうが信用しやすいという側面があります。もちろん、実態としては、個人でも資力のある人もいれば、法人でも資金繰りがひっ迫している会社もありますので、あくまで心理的なものにすぎません。ただし、行政の事業の受託や、介護保険事業等、法人格を有していることが条件となっていることもありますので、法人化することは様々なメリットがあります。
法人化というと株式会社の設立が一般的です。以前は、旧商法で、最低資本金が定められており、株式会社を設立する場合には、1,000万円が必要でした。現在、制度としては存在しませんが、有限会社でも最低300万円の資本金が必要でした。
そのため、会社を設立するには、相応の資産が必要でしたが、現在では、商法が改正され、資本金は、1円でも設立が可能となりました。
一般社団法人は、資本金は不要ですので、その比較ではどちらの法人を選択しても、設立時の資金負担はほとんど変わらないということになります。
社団法人でも、公益社団法人は税制上のメリットがありますが、一般社団法人では、株式会社と同様の納税義務がありますので、その比較においても、変わりはありません。
また、設立にかかる費用や事務手続きも、決定的な差異はありません。
一般社団法人と株式会社の決定的な違いは、営利性の有無です。ここで言う営利性というのは、収益性を求めるということではなく、事業で得た剰余金を配当することができるか否かということです。
株式会社は、株主に対し、剰余金を配当金として支払うことが可能ですが、一般社団法人は、配当が認められていませんので、剰余金は次年度以降の事業拡大に充当することになります。
なお、一般社団法人が配当できないからといって、職員の給与を配当を加味したと考えられる金額とすることは禁じられています。
このように考えますと、株式会社ではなく、社団法人を設立することのメリットはほとんど無いように感じられますが、公益事業を行う場合は、公益社団法人と認定されることにより税制上のメリットを享受できます。
また、一般社団法人に関しては、営利性を求めないということが、何らかの公共団体的な法人というイメージを持たれやすく、一般の株式会社よりも、公共、公平的な印象を持たれ、社会的な信用を得やすいというメリットがあります。